ADK

BI CoEを設置しデータドリブンカルチャーを推進


業務時間の短縮

顧客満足度の向上

消費者を動かすプロフェッショナルとして、顧客のマーケティング領域における総合的な課題解決を支援しているADK マーケティング・ソリューションズ。デジタル領域におけるソリューション強化も積極的に推進、データを活用したデータ・ドリブン・マーケティングを実践する体制構築にも取り組んでいます。

「以前は、深い分析を行うプランナーなどはSPSS やAccess を使っていましたが、ほとんどの簡易な分析はExcel を使っていました」と振り返るのは、DDM 戦略デザインセンター 第1 戦略デザインユニット 第1 アーキテクトグループでグループ長を務める正木 洋介 氏。しかし10 万行程度のデータであればExcel でも取り扱えましたが、最近では100 ~200 万行に及ぶことも珍しくなくなり、場合によっては1 億行を超えることもあるため、データが重すぎて何もできない状況になっていたと言います。

この問題を解決するため、新たなBI の導入検討に着手。複数のBI 製品を比較検討する中、有力候補となったのがTableau だったと語ります。

「実はすでに2013 年頃から社内データ基盤プロジェクトの分析環境として、一部の部署がTableau を使っていました」と言うのは、DDM 戦略デザインセンター 第1 戦略デザインユニット 第1 アーキテクトグループの安西 麻里子 氏。それまでは「グラフはExcel で描くもの」だと思いこんでいましたが、Tableau と出会うことでこの意識が根本から覆されたと語ります。「分析業務の目的も、レポートを書くという意識から、データをどう見ていくかへと変わっていきました」。

すでに社内で使われ成果を挙げているのであれば、これを全社で使うべきではないか。このような考え方から、2019 年6 月にはTableau の勉強会や情報発信を開始。2020 年1 月には「BI CoE (Business Intelligence Center of Excellence)」を設置し、Tableauを活用した組織横断型でのデータ活用プロジェクトがスタートするのです。

スピードです。膨大なデータ量になると、動きが著しく遅くなることがありますが、Tableauではそのようなことは起きません。また外部のデータソースに対するコネクターが数多く揃っている点も魅力です

Tableau の導入・運用環境について

ここでまず着手されたのが、バックオフィス系業務でのTableau 活用でした。経営指標などの社内向けデータの分析や可視化が進められています。これと並行してプランナーに対するTableau 勉強会も本格的に展開。全社員がTableau を活用し、必要なデータ分析を自由に行える環境の整備とスキル習得を、数年以内に実現することが目指されています。

さらにこれらと並行して、クライアント向け業務での活用もスタート。広告出稿のデータやデジタルメディアに関するGoogle Analytics のデータ、クライアントと共に実施するアンケート調査のデータ、テレビの視聴率や広告に関する統計データなど、多岐にわたるデータが分析対象となっています。

「クライアント様向けの業務では、データベースに直接つなぐことができないケースも多いので、いったんExcel 等のファイルにエクスポートし、これをTableau Prepで変換・加工した上でTableau に取り込んでいます。その一方で、弊社とご共有いただいているGoogle Analytics や広告出稿に関するデータは、Tableau を直接つないで分析することが多くなっています」(安西氏)。

クライアント向けダッシュボードは、クライアント毎にカスタマイズしたものをローカルファイルとして提供。クライアント自らがダッシュボードを操作し、多角的な分析や可視化を行えるようにしています。

社内におけるTableau へのアクセスは、社内のActive Directory と連携した認証システムによってコントロール。社内の組織情報とTableau のパーミッションとの連携も進めており、2020 年末までにはその環境を完成させる予定です。

Tableau 選定の理由について

ADK マーケティング・ソリューションズが、組織横断型BI ツールとしてTableau を選択した理由は、大きく4 つあります。

第1 は特定のデータ形式に依存しないことです。分析対象となるデータフォーマットはクライアント毎に異なるケースが多く、調査データも固定的なテンプレートは用意されていません。このような状況での分析は他のBI ツールでは難しいのですが、Tableau なら問題なく対応できます。

第2 は多様なデータソースに接続できることです。クライアント向け業務で分析対象となるデータソースは、あくまでもクライアントから指定されるものであり、こちらから指定するものではありません。多様なデータソースに対するコネクターが揃っていることは、このような業務では必要不可欠な条件だと言えます。

第3 は大容量データでもローデータのまま、スピーディに分析できることです。データ量はデータソースによって大きく異なりますが、ログデータでは最大で数億行になるケースもあります。Tableau ならこれだけの規模のデータも問題なく扱えます。

そして第4 が、クライアントでの導入数が多いことです。「大手のクライアントではNo.1 のシェアを持っているのではないでしょうか」と安西氏は指摘。そのためクライアントにTableau を提案した場合、抵抗なく受け入れられることが多いのだと言います。

「これは間違いなく、データ分析を加速する新時代のツールです。また圧倒的なビジュアライズ機能とデータ加工機能、コネクター機能を併せ持っており、社内にエンジニアがいなくても簡単に使いこなすことが可能。これも大きな強みだと感じています」(安西氏)。

Tableau の導入効果について

組織横断型でTableau を活用した結果、次のようなメリットが得られています。

業務時間の短縮

以前はレポーティングのためのデータ集計・加工・分析をプランナーが手作業で行っていましたが、これをTableauでテンプレート化・簡略化することで、業務時間が大幅に短縮されました。以前は1 ~2 週間かかっていたアンケートデータのレポートも、いまでは3 ~ 4 日で提出できるようになっています。

顧客満足度の向上

リアルタイム性の高い、より深いデータ分析が可能になったことで、クライアントの満足度が向上しました。またExcel では分析軸が2 軸に制約されていましたが、Tableau は3 軸、4 軸での分析も可能になり、必要な知見を効率よく得られるようになっています。その結果、広告提案だけではなく、データコンサルティング業務やデータ可視化に関する引き合いも増えています。

データ分析に関する情報入手

Tableau には活発なコミュニティが存在しており、そこに参加することでBI に関する多様な情報が得やすくなったことも、高く評価されています。「製品の使い方だけではなく、データ分析に関する上位レベルの情報も入手できます」と正木氏。「BI 製品でこれだけのコミュニティが存在するものは、Tableau 以外にはありません」。

今後の展開について

現在はダッシュボードの共有をローカルファイルで行っており、Tableau Server はまだ使われていません。社内の共有データに関しては今後、Tableau Server で全社向けのダッシュボードを共有し、プランナーがセキュアに活用できる環境を整備していく計画です。

「個々の社員がデータに触れられる土台が、Tableauによって徐々に出来上がってきています」と正木氏。今後は社内にもコミュニティを立ち上げ、データ活用をさらに活性化していきたいと語ります。「いま目指しているのは、従業員のスキルアップ、データドリブンカルチャーの推進、そしてこれによる競争優位性の獲得です。この3 本柱で取り組みを進め、データ活用が当たり前に行われる企業文化を、今後数年で定着させたいと考えています」。