Tableau で人事情報とプロジェクト情報を融合|NECソリューションイノベータ株式会社


人的リソースの状況と業務遂行状況の可視化

適所適材での人材配置

導入の背景

DX で変化した人材採用・育成のあるべき姿

NEC のIT 子会社として、NEC が構想した社会価値創造を技術で具現化する役割を担っているNEC ソリューションイノベータ株式会社(以下、同社)。約1 万人に上る技術者が、日々数多くのプロジェクトの中でスキルを発揮しています。このような人材の採用・育成を担当し、会社全体としての技術力強化に取り組んでいるのが、同社のHR 戦略室です。

「最近ではDX 案件が増えており、人材採用・育成のやり方も、従来型から変えていくことが求められています」と語るのは、同社で人事総務機能を担当する執行役員の瓜生 光裕 氏。AI やIoT などの最新技術の活用が増えた結果、必要となるスキルや知識は従来とは大きく変化しているのだと言います。

この課題に対応するため、2017年当時、人財企画部内にリソース戦略グループを設置。全社的なタレントマネジメントの検討に着手します。NEC と共に1年近くかかる育成プログラムを作り、最新技術がわかる人材を育成していったのです。

「しかしその後、人材育成に取り組むだけでは不十分だということがわかりました。育成した人材の力量が実際に発揮されるのは、あくまでもプロジェクトの現場です。そのため単に採用・育成するだけではなく、プロジェクトへの配置までを見据えたリソースマネジメント全体の施策がきちんとエコシステムとして機能しているかを確認し、必要があればそこからバックキャストして修正するという、発想の転換が必要だったのです」。

もちろんそのためには育成データである人事情報と配置データであるプロジェクト情報を串刺しにして可視化できる環境が必要です。そこで活用されているのがTableau なのです。

Tableau の導入・運用環境について

人事とプロジェクトの情報をかけ合わせて可視化

人財企画部とTableau が出会ったのは2018年9月。当時人財企画部の主席主幹であった大野 嘉昭 氏がIT・業務改革推進部の徳谷 有三 氏に対し「プロジェクトも含めて情報の可視化を行いたい」と相談したことがきっかけであったと言います。

「実は当社では、2013年からTableau を導入していました」と徳谷氏。しかし2016年頃までは複数のBI 製品を併用しており、いくつかの事業部で利用されている程度で、全社の基盤とは言えない状況だったと振り返ります。「その後、経営ダッシュボードでの主要KPI 管理と、現場の人がカジュアルに使えるデータ分析の両方を実現できるツールであることから、社内のデータ分析基盤をTableau に統一する方針で進めてきました。大野さんから相談を受けたときも、Tableau 推進の役割と、経理やプロジェクトのデータに関する知見があったため、即座にTableau なら実現できますと答えました」。

この提案を受け、人財企画部でもTableau の活用をスタート。まずは社内に存在する複数のシステムからデータを吸い上げ、育成した人材がどのようなプロジェクトで活躍しているのかを、可視化する取り組みが進められていきます。これと並行して、人材戦略やタレントマネジメント・リソースマネジメントはどうあるべきかの議論も展開。そして2021年にはHR 戦略室を設置し、大野氏がその室長に就任します。

その具体的な戦略について、大野氏は次のように説明します。「まず経営視点では、As-Is(現状)とTo-Be(目指す姿)のギャップを可視化することが重要です。次に部門視点では、プロジェクトの段階毎に必要となるスキルと人材とのマッチングが求められます。そして従業員視点では、キャリアオーナーシップがキーワードになります。自分のありたい姿(Will)、会社や社会が求めているコト(Must)、自分ができるコト(Can)を理解し、それらが重なった領域で活躍することが、従業員としての幸せにつながると考えられるからです」。

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いったんTableau にデータを抽出してしまえば、複数システムのデータを掛け合わせた可視化も可能になり、自分が見たい視点から自由自在にデータをダッシュボードで表現できます

Tableau 選定の理由について

多様な情報源からデータを抽出し簡単に可視化可能

Tableau を採用した理由について徳谷氏は「見た目の良いダッシュボードを簡単に作れること」だと説明します。またPrep Builder/Conductor を使えばデータ加工も簡単に行うことができ、表現できる内容の幅も広がると言います。

多様なシステムからデータを抽出しやすいことも評価されています。いったんTableau にデータを抽出してしまえば、複数システムのデータを掛け合わせた可視化も可能になり、自分が見たい視点から自由自在にデータを見ることができるのです。

「このような特徴を活かすことで、これまで分断されていた人事情報とプロジェクト情報を、串刺しにした状態で見ることも可能になりました」と語るのは大野氏です。またキャリアオーナーシップを高めるには、個々の従業員が自分自身のキャリアを可視化できることも重要ですが、Tableau ならこれも容易に実現できると言います。

経営層が施策を展開する際、大切なのは腹落ちしてもらうことで、そのためには、やはりファクトが大切です。今までは都度集計しなければ見えなかったデータが「ダッシュボード」という形でリアルタイムに見えるようになったことにより、施策の説得力が増し、従業員へもきちんと腹落ちしていると感じています

Tableau の導入効果について

現状の把握が容易になり従業員の意欲も向上

人材採用・育成におけるTableau 活用は、次のような効果をもたらしています。

人的リソースの状況と業務遂行状況の可視化経営視点では目指すべきTo-Be に向けて、まずは会社全体のAs-Is を把握する必要がありますが、Tableau で複数システムから抽出した情報を可視化することで、これが可能になりました。「現在直面している課題も明確になり、それを変えるにはどのような打ち手が必要なのか、といった議論も行いやすくなった」と瓜生氏は語ります。

適所適材での人材配置新規プロジェクト立ち上げ時の体制構築において、想定するポジションに要求されるスキルを定義し、そのスキルを有している人材を検索し、アサインすることが可能になりました。これによって各プロジェクトに対する適所適材での人材配置も可能になっています。

キャリアの可視化従業員の視点でも、自分自身が保有しているスキルと経験が、一元的に見られるようになりました。自らが希望するキャリアを実現するには何が必要なのか等、上司との1 on 1 を通じたキャリア検討も活発になっています。

自己研鑽の時間増大同社では自己研鑽のためにUdemy for Business のオンラインコースを導入していますが、その利用時間も増大しています。Tableau による利用実績の公開前に比べ、平均学習時間は約20%増えているのです。「ランキングや実績時間を可視化したことが、学習意欲向上につながっていると推察しています」(大野氏)。

従業員のスキルの見える化は、ロールモデルの可視化にも繋げられると思います。また、同様に仕事の見える化も行いたいと考えています。目標になる人や仕事が明確になることで、自分がどのようなキャリアを目指すべきなのかがわかりやすくなるからです。これによってキャリアオーナーシップを、さらにレベルアップできると考えています。

今後の展開について

可視化で課題を紐解き次のアクションへ

今後はさらにTableau の活用領域を拡大していく方針です。

まず経営視点では、事業戦略と人事戦略を融合することで、全体最適な意思決定を可能にすることを目指しています。次に組織視点では、全国にいる技術者のスキルとアサイン状況を即座に把握できるようにし、プロジェクトへの最適な人材配置をさらに拡大していく計画です。そして従業員視点では、Can の可視化を継続的に進めていきたいと大野氏は語ります。

「DX の世界は半年もすると技術が陳腐化すると言われており、適所適材の配置を迅速に行わなければ、人材育成への投資も意味がなくなってしまいます」と瓜生氏。Tableau を活用した可視化を広げていけば、この問題を解消できるはずだと言います。

「取り組みはまだ始まったばかりですが、これからは可視化された情報をもとに課題を紐解きながら、必要なアクションに着手していきたいと考えています」。

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