Seven & i

7iDを軸とした各種データをTableauで可視化


データ活用のスピードアップ

意識の変革

導入の背景

国内のセブン-イレブンだけで約2万店のネットワークを持ち、コンビニエンスストアやスーパーストア、百貨店、専門店、金融サービスなど、多彩な業態を展開しているセブン&アイ・ホールディングス。お客様一人ひとりに満足してもらえる質を追求することで、新たな価値を提供し続けています。

「昨今は国内人口が減少し続けている中、既存のお客様のロイヤリティを高め、ライフタイムバリューを最大化していくことが、重要な課題になっています」と語るのは、同社 グループDX 戦略本部DX統括部でシニアオフィサーを務める伏見 一茂氏。そのためにはリアルだけではなく、デジタルの接点も増やすとともに、顧客毎の購買情報を複数のチャネルを統合した形で把握する必要があると説明します。「以前はPOS データや電子マネーnanaco のデータなど、お客様に関するデータがバラバラな状態で管理されていました。これらをすべて7iD に統合し、事業会社を横断した新しい世界を作ってきました」。

もちろん統合されたデータ群をもとに顧客への理解を深めていくには、ビジネス現場でのデータ分析が欠かせません。

「現在では多くのデータが公式アプリのID である『7iD』と紐付けられており、コンビニなどから得られる日々の膨大な買い物データが蓄積されています。このデータを活かすことで、顧客体験の改善が可能になるはずです。しかしこれまでは、データ活用が十分に進んでいるとは言えない状況でした」(伏見氏)。

Tableau を使うことで、確実に数字を追えるようになりました。今では毎朝ダッシュボードを開き、指標を頭に入れた上で仕事を進めています。

Tableau の導入・運用環境について

そこでセブン&アイ・ホールディングスは、2016 年にデータ活用を推進するための取り組みに着手。7iD を軸に顧客データを分析する仕組みの確立に向けた検討が進められていきます。

Tableau の活用が始まったのは2018 年6 月。これは7iD のローンチと同じ時期です。この2 つを同時にスタートしたことで、データ活用を一気に推進することが可能になったのです。分析で使用するデータは基幹系システムなどから抽出、これをもとにデータマートを作成した上で、そこから必要なデータをTableau Server に取り込み、各種指標(KPI)を確認するダッシュボードを作成しています。具体的には、7iD 会員数の推移、事業会社毎の購買金額、エリア別購買金額、月別購買金額、各社アプリのアクティブ率などが計測されています

Tableau 選定の理由について

それではなぜTableau の活用を決めたのでしょうか。その理由について伏見氏は以下のように説明します。

「Tableau はデータを数字の羅列ではなく、グラフなどの形で可視化したダッシュボードを作りやすく、そのダッシュボードをユーザー自身が加工しやすいツールです。そのためデータからの気付きが得られやすく、グループ内にデータドリブンの文化を創出しやすいと評価しました。可視化の方法もグラフだけではなく、地図や空間へのマッピングなども可能です」。

実際にこのマッピング機能を活用し、売上の変化を地図上にプロットする、といった使い方も行われていると伏見氏。これによって、新型コロナウイルス感染症拡大期の外出制限や在宅推奨などで人々の消費行動がどのように変化していったのか、空間と時間の2 つの観点から可視化できたと言います。「これまでは不可能だったことがTableauで実現できました」(伏見氏)。 このようなTableau そのものの特徴に加え、教育の仕組みがしっかりしている点も高く評価されています。

「DX 統括部のメンバーはTableau の研修で使い方を学びました。またコミュニティ活動やユーザーによる情報発信も活発で、わからないことがあればすぐに調べることができます」。

Tableau の導入効果について

実際にTableau を活用することで、次のような成果が得られつつあります

データ活用のスピードアップ

7iD 会員に関する月次レポートはPowerPoint で7&i グループ各社に共有されていますが、それに先立つ形でTableau のダッシュボードとしても提供されています。このダッシュボードを利用することで、レポートが展開される前にいち早く、マーケティング担当者が月次での変化を把握できるようになっています。

意識の変革

Tableau のダッシュボードを日常的に見ることで「物事の見方も少しずつ変わりつつあります」と伏見氏は指摘します。単に売上の増減を見るだけではなく購買状況をID 単位で見ることや、データを根拠にして施策を考えることの重要性への認識が、事業会社にも徐々に根付きつつあると言います。

今後の展開について

「最終的に目指したいのは、データドリブン文化の定着です」と伏見氏。現在はまだ基本的なKPI をダッシュボードで提供するにとどまっていますが、今後は現場の担当者自身が自分たちに必要なデータを選び、それを自由に分析できる環境を整備していきたいと語ります。

「お客様の問題点や変化を、自分自身で行うデータ分析で発見できるようになれば、施策立案やその実施も、より自信をもって行いやすくなるはずです。将来はこのような『データドリブン型の現場』を実現していきたいと考えています」。