GooDay

感染者数や来店客数のデータをTableauで分析、その結果にもとづき通常営業の継続を決断


Tableauの導入・展開で培われたデータ分析を日常的に行う企業文化

ホームセンターはライフライン、『密な状態』を避けるには営業時間短縮は逆効果と判断

データをもとに適切な判断を下すには自分自身で操作することも重要

株式会社グッデイは1978年に福岡県大野城市に第一号店を出店し、現在では北部九州・山口に65店舗のホームセンターを展開する企業です。取り扱い品目は日曜大工用品や植物・園芸・ペット用品から、インテリア・エクステリア、家電製品、カー用品、事務文具用品まで幅広く、年間の売上高は約324億円に達しています(2020年3月現在)。

福岡県で新型コロナウイルス発症者が2名出た2020年2月には、毎月開催する100人規模の店長会議をオンライン化。その翌月には全ての取引先との商談を、電話かオンラインで行うように通達しています。さらに3月末には本部の全従業員が在宅勤務へとシフト。東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言が発令される2020年4月7日よりも早い段階で、高い危機感のもと必要な対応を進めてきたことがわかります。

ここで注目したいのが、多くの小売店や飲食店が営業自粛や営業時間短縮を行う中、グッデイでは通常営業を継続したことです。その背景にはTableauを活用したデータ分析と、その分析結果を共有しながら行われた全店長へのきめ細かい方針説明がありました。

Tableauの導入・展開で培われたデータ分析を日常的に行う企業文化

グッデイがTableauの活用を開始したのは2015年4月。現社長(当時は副社長)の柳瀬 隆志 氏がTableau Desktopを1ライセンス購入し、個人的に利用するところからスタートしました。

「私は以前商社で働いており、大手のチェーン店などがデータを活用した在庫管理などを、しっかり行っているのを見てきました。その後2008年に当社に入社したのですが、その時は『IT活用がかなり遅れている』という印象を持ちました。小売業なのでPOSシステムは導入されていましたが、業務システムとしか使われておらず、そのデータを分析する仕組みがなかったのです。そのためデータ分析を行うには、業務システムからExcelのマクロでデータをダウンロードし、手作業で加工する必要がありました」(柳瀬氏)。

このような状況をなんとかしたいと思い、いくつかのBIプラットフォームを試してみたものの、多くは使い方が難しく、動作が重いと感じることも多かったと柳瀬氏。このような状況の中、地元のIT企業から聞いたのが、大手メーカーがクラウドデータベースと組み合わせて、Tableauを分析に使っているという話だったと言います。

まずは柳瀬氏が個人でTableauを使ってみた上で、2015年7月には「データ活用推進会議」を発足。ここでTableau Serverも導入しています。その後、2016年1月には人事総務部、2月には財務経理部がTableau Desktopを購入。2016年5月には部門長会議での報告にもTableauが活用されるようになります。

現在のデータ分析環境は、Tableau DesktopとTableau Onlineで構成されています。ビジュアル分析を行うダッシュボードの編集はTableau Desktopで行い、その内容をTableau Onlineへとパブリッシュすることで、複数ユーザーがダッシュボードを共有しながらデータ分析を行える環境を整備しているのです。これによって分析に要する時間は以前の100分の1に短縮。会社の決定事項をデータとともに伝える文化も醸成されることになりました。

ホームセンターはライフライン、『密な状態』を避けるには営業時間短縮は逆効果と判断

「Tableauを使い始めたときから、当社ではPOSデータに限らず、様々なデータを可視化してきました」と柳瀬氏。新型コロナウイルス感染症が拡大した際には、まず最初に時間帯別の顧客数を可視化し、いわゆる『密な状態』を避けるには来店客数のピークを下げる必要があることがわかったと語ります。「そのためには営業時間を短縮するのは逆効果です。短縮すれば限られた営業時間に来店客数が集中し、結果的に密な状態が生まれてしまうからです」。

またホームセンターはライフラインの1つであり、外出自粛が要請されている状況下でも、消費者は様々な物資を求めて来店せざるを得ません。それならば通常通りの時間で営業し、客数の少ない朝や夕方の時間帯に来店客を分散させるのが適切だと判断したと説明します。

「政府の緊急事態宣言が発令された段階では、ホームセンターが自粛対象になるのか否かは、まだ流動的な状況でした。しかし当社ではいち早く営業継続を決定。4月7日の店舗営業開始前のオンライン朝礼で、全店長にこの方針を伝えました。このときは現場から不安の声も上がりましたが、データ分析結果を示しながら方針を説明した結果、全員が納得した上で営業継続に踏み切ることができました。もちろん店頭での感染防止策をどのように行うかを、きめ細かく決めた上での営業継続です」。

頭の中で考えたことを言葉だけで話すのでは、正確に伝えることは困難です。しかし実際の数字を可視化して見せることで共通認識が生まれ、こちらが考えていることを正確に伝えることができます。Tableauはこれを可能にする、優れたプラットフォームだと感じています

当初は「自粛要請が出ているのになぜ店舗を営業しているのか」という近隣住民からの苦情も覚悟していましたが、結果的には「営業してくれてありがとう」という声が多かったと柳瀬氏。実際、マスクやアルコール、飛沫防止のアクリルパネルなどの感染防止用品の需要は極めて高く、ウッドデッキの材料や塗料といったDIY用品や植物の売れ行きも下がらなかったと言います。

「帳票類をTableauで見る習慣が社内に根付いていたので、本部社員の在宅勤務への移行も円滑に行えました。クラウド上のダッシュボードには自宅からもアクセスできるため、数字を知るために会社に行く必要がないのです。またデータが可視化されているため、意思疎通も誤解なく直感的に行なえます。可視化されたデータは優れたコミュニケーションツールになることを、改めて実感しました。」

データをもとに適切な判断を下すには自分自身で操作することも重要

今回のコロナ禍では、POSデータや来客数データの他にも、様々なデータが活用されています。その中には、オープンデータとして公開されている感染者数データや、Googleが公表している人の移動状況のデータなども含まれていると言います。

「これらのデータを組み合わせて分析していくと、様々なことがわかります。例えばマスクの販売枚数は、感染者数増大の報道があると増える傾向があります。つまり実際の需要よりも、不安心理のほうが大きな影響を与えるのです。佐賀県で最初の感染者が出たときも、人数はわずかだったにも関わらず、佐賀県の店舗でマスク販売数が急増しました」。

その一方で、単にデータを見るだけではなく、自分自身でグラフを操作しながら考える姿勢も重要だと語ります。

「今回改めて感じたのは、報道におけるデータの扱いが、不十分ではないかということです。私は日本で報道されているデータの他、フィナンシャル・タイムズなど海外のダッシュボードも見ているのですが、フィナンシャル・タイムズのグラフは対数グラフと絶対数のグラフでの比較や、任意の国の感染者数を簡単に比較できたりするデータ分析環境が整えられており、とても分析をしやすく作られています。バイアスのかかった数字に惑わされないためにも、Tableauのような分析プラットフォームを活用し、自分自身でグラフを操作しながら状況を把握すべきです」。

新型コロナウイルス感染症が拡大した際には、まず最初に時間帯別の顧客数を可視化しました。ここでわかったのは、密な状態を避けるには店客数のピークを下げる必要があることです。そのためには営業時間短縮を行わず、通常通り営業すべきだと判断しました

また感染者数の傾向を見る場合、単に日々の感染者数を追うだけでは、適切な判断は難しいとも指摘。日々の感染者数は曜日によって増減が激しいため、移動平均を取った上で判断すべきだと言います。「Googleが提供する人の移動のデータも組合せ、人の移動と感染者の推移がどのように関連するのかにも気を配っています。」と語ります。

このようなデータ分析文化を広げていくための活動も展開しています。柳瀬氏が代表取締役を務める関連会社の株式会社カホエンタープライズでは、グッデイで蓄積したデータ分析のノウハウをもとに小売業向けのPOSデータ分析サービスをローンチ予定。「これまでデータを活用しきれていなかった企業が、クイックにデータ活用を始められる支援サービスを開始します。」

「頭の中で考えたことを言葉だけで話すのでは、正確に伝えることは困難です」と柳瀬氏。同じ現象を見ていてもそれに対する認識は人によって異なっており、会話しても噛み合わないことが少なくないからだと言います。「しかし実際の数字を可視化して見せることで共通認識が生まれ、こちらが考えていることを正確に伝えることができます。Tableauはこれを可能にする、優れたプラットフォームだと感じています」