教育機関を手本に、トレーニングと認定を通じてデータスキルのギャップに対処する企業の取り組み

デジタルトランスフォーメーションではデータドリブンな企業になることが求められるため、組織は確実に事業を成功させるために、大規模な投資 (今年は平均 1,530 万ドル) を行っています。これらの投資の一部は、テクノロジーやシステムアーキテクチャに充てられていますが、1,530 万ドルのほぼ半分 (41%) がスキル開発に割り当てられています。これは驚くことではありません。多くの人々がこれまで以上にデータにアクセスできるようになりましたが、データの「言語を話す」ことができないためです。基本的なデータリテラシーを持つ従業員は、ますます触れることが多くなるデータについて理解し、応用 (すなわち「翻訳」) する能力が備わっているため、事業に関連する問いに答えを出して、より大きな価値を企業にもたらすことができます。企業は、データサイエンティスト以外の従業員の分析能力を開発して、分析スキルのギャップに対処するためのデータリテラシーの取り組みを実施することで、成長に対する障壁を取り除いています。ガートナー社は、データドリブンな文化を構築し、その利点を享受する上での最も大きな障害の 1 つとして、データリテラシーの低さを挙げています。

データリテラシーへの投資は、企業にとって新しい取り組みかもしれません。一方、教育機関は、私生活および職場での意思決定や問題解決の要件として、学生のクリティカルシンキングと分析能力の開発に長年従事してきました。ピッツバーグ大学、カーネギーメロン大学、エジンバラ大学などの大学は、学問分野を超えて、学部生と大学院生の両方にデータスキルプログラムとカリキュラムを提供することで、次世代のデジタルネイティブを輩出しています。サウスフロリダ大学 Muma College of Business は、シチズンデータサイエンティスト認定プログラムを制定して、ビジネス上の意思決定に役立つデータを収集して分析できるように、技術的な専門知識を持たない学生を教育しています。このデータリテラシーにより、学生はデジタルファーストの労働環境で進んでいくための分析スキルとリテラシーを習得しています。

企業は、独自のデータスキルプログラム、センターオブエクセレンス (COE)、そしてコミュニティを確立するか、サードパーティのデータリテラシープログラムや外部コミュニティとのトレーニングを模索することにより、教育機関の取り組みを手本にしています。企業は、データリテラシーの開発の成果を測定するに伴い、分析に関する認定取得に対しても援助を行っています。このような投資により、未来のデータネイティブを育成するとともに、データリテラシーを備えていない現従業員の分析スキルをレベルアップできます。

ロッキード・マーティン社では、データリテラシーをデジタルトランスフォーメーションの柱にして、米国各地のキャンパスで従業員のエンゲージを高め、教育を行うための正式なデータリテラシーワークショップとコースを開始し、2020 年には拡大する計画をしています。グローバルなセキュリティおよび航空宇宙企業は、製造やその他従来のアナリスト以外の業務に従事する人々に、このようなトレーニングを導入したいと検討しています。そこで、エンタープライズアナリティクスチームは、従業員がデータリテラシーを持つ場合に、データの取扱い方にどのような変化があるかについて、従業員の職務と企業にもたらされる付加価値の観点から調査しました。ロッキード・マーティン社のエンタープライズアナリティクスリーダー、Anthony Brown 氏は次のようにコメントしています。「基本的なデータリテラシーにおいて重要な点は、データがどこで使用され、どのように使用され、なぜ重要なのかを真に理解することです。[...]一方、従業員がこれらの点を理解できれば、保存したデータを慎重に扱うため、データの品質と正確性の確保にもつながります」データリテラシーへの投資を管理して、対象を 10 万人以上の従業員まで拡大することを目標に、Brown 氏とチームは、社内ツールの Eureka に目を向けています。この Twitter のようなプラットフォームを活用して、従業員はコミュニティを確立し、質問や回答を投稿して、お互いをサポートすることで、組織のデータビジュアライゼーションとレポート手法を改善できました。

米国南部にある学術医療システムの大手非営利団体のデータビジュアライゼーション部門の BI マネージャーである Marina Brazhnikova 氏は、組織全体で分析に対する需要が急増していることを見てきました。彼女のチームは、組織の成長に伴い、顧客や企業に要求されるサービスを提供して、事業規模の拡大を続けるために、スタッフの採用とデータリテラシーの研修に重点を置いています。Brazhnikova 氏のチームは、開発者 2 名から 11 名に増えました。データリテラシーの上昇により、従業員の意欲と能力だけでなく、全体的な運用効率が向上しました。

ロッキード・マーティン社や、データリテラシープログラムを開発している他の企業でクリティカルシンキングを習得した従業員は、データに関するビジネス上の課題を解決して、より大きな価値を組織にもたらすことができます。ガートナー社によると、教育分野でのテスト環境から企業の領域へと移行することで、データリテラシーは「人、プロセス、テクノロジーとともに、デジタルビジネスの核となるイネーブラー」として機能しています。組織が正式なトレーニング、継続的な学習を推進するコミュニティ、データリテラシーを測定するための認定に投資することで、従業員はデータを活用して成功を収め、企業に大きな影響をもたらすことができます。デジタルトランスフォーメーションにおいては、あらゆるレベルでデータリテラシーが求められるため、アジャイルな取り組みを進めて今後に備えましょう。

分野とテクノロジーの専門家は誇大宣伝の問題を乗り越え、人工知能と機械学習の共有ビジョンを構築

人工知能 (AI) はデジタルトランスフォーメーションの次の段階として、注目を集めています。組織は競争力を維持するために、急ピッチで AI プロジェクトに取り組んでいます。昨年、IDC 社は、「AI への世界的な支出は 2019 年に 350 億ドルを超え、2022 年には 792 億ドルに倍増すると予測される」と発表しました。大半の組織は支出の増加にもかかわらず、実践的な使用事例ではなく、早い段階からテクノロジーに焦点を当てているため、AI への投資から価値を実感できていません。

新しいテクノロジーとサービスは、新たな段階の AI 普及の基盤を築きました。組織はイノベーションラボで AI プロジェクトを試用する代わりに、AI プロジェクトの作成、テスト、実装を行うチームを構築する方法から着手して、さらに実用的なアプローチを取っています。Google Cloud AI の責任者、Andrew Moore 氏が Harvard Business Review の記事で述べているとおり、AI が日常生活のテクノロジーになると、「Deployed AI (導入済みの AI)」の時代が到来します。人々はエンジニアリングより、AI の「共有ビジョン」を重視するようになります。これは、既存のプロセスとチームの構造に対して、AI と機械学習をどのように適応できるかについて概説しています。データサイエンティストやエンジニアはサイロ化された環境で AI プロジェクトに取り組むのではなく、分野の専門家に戦略計画に関する会話に参加してもらい、AI と機械学習の計画をより広範なビジネス戦略と一致させるようにします。

共同作業によるアプローチを取ることで、AI の導入に適したビジネス上の意思決定の部分と、人の介入が必要な部分を明らかにすることができます。新しい小売店のオープンを検討しているとしましょう。ただし、これまで同じような店舗を経営した実績はありません。AI 対応のシステムでは、店舗の予想売上を予測するために、該当する地域の通行者の数や人口統計に基づいて、推奨事項を提供する場合があります。ただし、立地の可視性、競合店の情報、駐車場の空き状況などに関するギャップを埋めるためには、その分野に精通した人の専門知識が必要になります。機械学習による推奨事項の価値を実感できるのは、意思決定を行う人々に限られます。Tableau の AI 担当プリンシパルプロダクトマネージャーである Richard Tibbetts は、次のように述べています。「AI の出現は、アルゴリズムがビジネスの運営方法を教えてくれるという意味ではありません。組織の中で AI が採用され、信頼に足るようにするのは、分野の専門家なのです」

分野の専門家を AI と機械学習に関する会話に参加してもらうことで、部署全体で AI の教育者と推進者を輩出するという、もう 1 つの強力なメリットが生まれます。テクノロジーの専門家と分野の専門家の共同作業の機会を増やすと、両者の知識の共有を促すことができます。McKinsey Quarterly (英語) の記事で、NBCUniversal のコーポレートデシジョンサイエンスの責任者である Cameron Davies 氏は、年間予測に関する使用事例を紹介しています。同社は、一連の機械学習アルゴリズムを構築して公開し、プロセスを強化することにしました。初期段階では、プロジェクトに従事する研究者を招聘しました。最終的に Davies 氏はエバンジェリストとして、各事業部門に対して研修を行い、推奨事項の解釈方法について指導しました。

データの専門家は、企業がデータをどのように使用するかについて有益な情報を得ます。一方、分野の専門家は、データのスキルをサポートすることで、技術職以外の従業員の士気を向上させることができます。分野の専門家は、お互いの関係と専門知識に基づいて、これらの AI プロジェクトの結果を部署やチーム全体で応用させる上で重要な役割を果たし、AI 普及の新しい波を呼び寄せるでしょう。

ブランドは消費者のデータにストーリーを取り入れ、さらに本格的で啓発的なエンゲージメントを実現

2019 年に一番「いいね」を獲得した写真は何ですか?一番聴いた音楽は何ですか?どのくらい運動しましたか?21 世紀の消費者にとって、このような個人データのストーリーは、これまで以上にアクセスしやすく、アイデアをもたらしてくれます。私たちは企業がデータを収集することに慣れ、週または年に一度、人々の行動に関する調査結果が発表されると期待すらしています。そして今、これらのインサイトがかつてないほど普及しており、ブランドはさらに有意義かつ有益で、インタラクティブなデータストーリーを打ち出すことで、消費者のエンゲージメントを高めています。

データのストーリーテリングは、企業が人々の習慣を説明して、事実と数字では実現できない方法で、エンゲージメントを向上するのに効果的な方法です。個人の銀行取引について考えてみましょう。口座に関連付けられているすべての支払い、預金、請求の詳細な履歴にすぐにアクセスできます。ですが、インサイトを入手するために、時間をかけてこれらのリストを分析しているでしょうか?年末になると、銀行から購入履歴の一覧が送付されます。これらの累計情報はカテゴリーに整理され、視覚的に提示されます。さまざまなデータを表示することで、速やかに傾向を把握して、有意義な質問を持つことができます。「旅行をしたり趣味にもっと投資したりできるのに、服にお金を使い過ぎていないか?」

支出の概要はわかりやすい例ですが、このような年間まとめは、データをコンテキスト化して、インサイトを引き出すのに役立つことを示しています。ガートナー社のブログ投稿「データと分析を活用してストーリーを伝える」(英語) で、投稿者の Christy Pettey 氏は、「価値を提供するのは、データを取り巻くコンテキストであり、これにより、人々の注目を集め、エンゲージメントを高められる」と述べています。これらのストーリーの主役として、このデータを活用できるのが楽しみでなりません。また、データをメールやスマートフォンに直接配信することで、利便性を高めて、データの調査を効率化できるだけでなく、時間をかける価値のある作業に変えられます。

新しい質問や行動を促すインサイトのパーソナライズと同様に、一部の企業はさらに一歩進んで、ユーザーのデータと連携して推奨事項を提示しています。法人向けコラボレーションソフトウェアの Slack は、組織が参加しているチャンネルや会話に関するデータを提供するだけでなく、パーソナライズされた推奨事項も提示します。たとえば、休止中のチャンネルや、頻繁に使用されていないチャンネルを退会することで、生産的な会話に集中できます(言っておきますが、同僚にペットの写真をシェアしないようにということではありません)。

インタラクティブな性質により、このような個人的な情報のやり取りは、はるかに魅力的になっています。Spotify の「Year in Review」の年間まとめでは、リスナーに向けて、最も多く再生されたアーティストを予想するクイズが開催されました。Facebook では、オンライン上の友達との関係で重要なマイルストーンを達成すると、ユーザーとその友達にクイズが提示されます。問題では、お互いのコンテンツを「いいね」した合計回数を推測したり、2 人が写った写真のうち、最初にアップロードした 4 枚を選んだりします。クイズでは、楽しみながら過去のデータをさかのぼれるだけでなく、自分自身のデータストーリーの先入観に立ち向かうという、興味深い機会が生まれます。

このようなデータエクスペリエンスとインタラクティブなインサイトを提供するブランドが増えることを期待しています。企業はパーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを通じて、ロイヤルティや満足度を向上するほか、リピート購入、アップセル、クロスセルなどの新しい販売機会を創出できます。また、これらのブランドとの関係を発展させ、消費者としての私たちに大きな価値をもたらします。これには、データ分析にあまり関わらない人々に対して、有意義な体験を提供することも含まれています。独自のデータストーリーとの相互作用の価値が高く、有益であるほど、さらに多くの企業が、行動の変化と私生活や職場での成長を促せるようになります。

リソースとしてのデータにより、従業員の満足度と業務のパフォーマンスを向上させるための前提条件が『公平性』であることが判明

データは、公平性の向上に取り組む組織にとって、重要なリソースになりつつあります。非営利団体だけでなく、政府や企業などの組織は、より良いデータを活用して、過小評価されている、または社会的公正な労働環境を実現するにあたって、構造上の障壁に直面している個人またはグループを特定できるため、関係者全員にさまざまなメリットがもたらされます。道徳的な義務に対処するだけでなく、公正な労働環境とシステムを確立することで、個人とこれらの取り組みを主導する組織の両方にプラスの影響を与えられます。従業員のデータに関する透明性により、企業は従業員の定着と満足度を向上させる機会を生み出しながら、コミュニティと担当する顧客の現状を正確に反映させることができます。調査によると、多様で公正な職場では、収益性の向上、運用効率の最適化、競争力のある人材獲得などのメリットが得られることが判明しています。

組織はデータを利用して、ダイバーシティに関する指標を詳細なレベルで分析できます。さらに、その情報を用いて、システムにおける不平等を特定し、解決に導くことができます。現在、方針に関する議論から除外されている従業員や、サービスの対象となる従業員については、公共部門と民間部門の両方のデータを介して、特定、把握、サポートすることができます。非営利団体はデータを使用して、地方の公務員が女性と少女の権利を推進するためのアドボカシーツールを提供することで、公平性の確立に役立てています。一方、政府は人種的平等のダッシュボードを利用して、特定の人種、性別、経済、または文化グループが遅れを取っている分野を確認しています。

公平性を確立するためにデータが使用されている例の 1 つは、米国の教育システムです。Equal Opportunity Schools (EOS) は、540 校以上の学校にサービスを提供し、学区と協力してデータを分析し、アドバンス・プレースメント(AP)および国際バカロレアコースのアクセシビリティを向上させています。過去 10 年間、EOS は、このような高度な教育機関に在籍している、43,000 名以上の有色人種や低所得の学生を支援してきました。多くの場合、これらの学生は見過ごされやすく、十分に認識されていません。現在、米国のアドバンス・プレースメントまたは国際バカロレアプログラムの 98% には、学校の人種におけるダイバーシティが反映されていません。

EOS はデータを使用することで、このような応用クラスで能力を伸ばせる有色人種の学生を迅速かつ効率的に特定し、これまで彼らが利用できなかった教育機会を提供して、これらのプログラムで人種的平等を確立できるように、各学校をサポートしています。

同様に、民間企業は職場のデータを分析することで、さらに効果的なダイバーシティとインクルージョンに関するプログラムと診断ツールを考案して、定量的に取り組みを測定できます。リーダーは、給与、性別、人種的平等に関するインサイトを通じて、誰が雇用されているか、誰が雇用されていないか、すべての従業員がプログラムを利用できるか、既存のプログラムがどれほど効果的かを把握できます。

職場のデータの透明性を確保することで、従業員の信頼と満足度を向上できます。満足度の高い従業員は、優れた生産性とパフォーマンスを発揮しています。デロイト社のレポートによると、インクルーシブな組織は、インクルーシブな人材戦略を欠いている組織よりも、3.6 倍効率的に個人のパフォーマンスに関する問題を対処できることが判明しました。多くの場合、あらゆる企業において、人的資本は最大の投資です。インクルーシブな取り組みは、定着率と人材獲得の改善につながり、長期的な利益を生み出します。

多様で公正な職場づくりは、収益性にも影響します。マッキンゼー社の調査研究「重要なダイバーシティ」(英語) では、財務実績と、性別や民族の面で多様な労働環境との関連性が明らかになりました。「性別のダイバーシティの高い企業の上位 4 分の 1は、国内業界の平均を上回る投資収益を得られる可能性が 15% 高くなりました。人種または民族のダイバーシティの高い企業の上位 4 分の 1は、国内業界の平均を上回る投資収益を得られる可能性が 35% 高くなりました」パフォーマンスとダイバーシティの関係により、職場の公平性を確立して、従業員の満足度と組織の成功を実現するために、リソースとしてのデータの重要な役割とその透明性を強化できます。

経営幹部はデータと分析の未来に対する責任を分担

組織はよりデータドリブンになるために、数兆ドル規模で投資を行っていますが、2018 年マッキンゼー分析調査 (英語) では、「リーダーとラガード」つまり、データへの取り組みで成功した企業と、企業努力から利益をなかなか得られない企業の差が拡大していることが報告されています。成功を収めているデータドリブンな企業は、テクノロジーに投資するのと同様に文化に投資し、事業の中核にデータを導入しています。そして、データカルチャーなどの組織文化は、組織の上部から始まるのです。

近年の最高データ責任者 (CDO) の増加は、企業内のデータの価値の高まりや、データと分析への取り組みに対するエグゼクティブスポンサーの必要性を示しています。CDO には、企業のあらゆる側面を 1 つの分析戦略に落とし込み、IT と企業のギャップを埋めるという課題がありました。CDO は今なお、デジタルトランスフォーメーションの取り組みを推進していますが、現在では、すべての経営幹部が、データと分析に対する責任を分担するよう努めています。

あらゆる部署のリーダーは、担当するチームの重要な意見を、組織のデータおよび分析戦略に取り入れることが期待されています。リーダーは、従業員がどのようにデータを使用し、データを共有し、企業の部署内でデータを提示しているのかを把握する必要があります。Tableau のシニアプロダクトマーケティングマネージャー、Mike Hetrick は、次のように述べています。「データ戦略は、組織全体のニーズを取り入れて、包括的な事業目標を確実にサポートする必要があります。データおよび分析戦略では、従業員、プロセス、変革管理について考慮しなければなりません」

同様の責任は他にも、エグゼクティブスポンサーに存在しています。リーダーは戦略以外にも、データドリブンな未来を創造するために必要なツールとトレーニングで、従業員を啓発することが期待されています。「エグゼクティブスポンサーは、組織全体にテクノロジーを規模拡大する方法だけではなく、適切なサポート、トレーニング、変革管理、そして組織内のあらゆる障害を乗り越える能力の実現も検討する必要があります」と、Mike は述べています。「スポンサーの役割の一部は、行動をモデル化し、データの提唱者になることです」

このような期待は CEO にまで及びます。たとえば、南アフリカの大手航空会社である Comair では、ビジネスインテリジェンスチームは、会社全体のより多くの従業員に、セルフサービス分析を導入したいと検討していました。従業員の教育とオンボーディングをサポートするために、データスチュワードプログラムの案がありました。このプログラムでは、新規ユーザーをサポートして、セルフサービスアプローチを推進するために、部署内にデータの専門家を配置しています。このプログラムは CEO から賛同を得て、分析の文化を構築する際に、著しい進歩を遂げました。Comair のビジネスインテリジェンスマネージャー、Liezl Brouckaert 氏は次のように述べています。「当社の CEO がデータに強い関心を持っているのは、非常に幸運なことです。CEO の賛同がなければ、ビジネスインテリジェンスプログラムを推進することはほぼ不可能です」

このアプローチは、経営幹部全体がデータと分析について、情報に基づいた視点を持つことを意味します。これにより、戦略に関する会話と取締役会において、データが重要な役割を果たすようになります。このような協力関係が経営幹部で確立されると、データおよび分析への取り組みにおいて、組織の基本的な運用方法を変革するために必要なサポートやアドボカシーが生まれます。あらゆる部署や職務の従業員の日常的な会話や行動の基盤に、データが組み込まれるようになります。

組織はデータ管理への参加を拡大して、データドリブンな意思決定を大規模にサポート

データの現状について考えたことはありますか?どこに保存されているのか、誰が使用しているのか、どれくらいの頻度で使用されているのかをご存知ですか?組織内の従業員は、意思決定に使用するのに適切なデータと、そのデータへのアクセス方法を把握していますか?

データドリブンなリーダーは、分散されたデータパイプラインを統合する新しいソリューションで組織を差別化しています。データテクノロジー内ですでに起こっている進化とともに、企業全体でデータの準備、整理、共有を行う方法において、役割とプロセスは変化しています。IT は『ゴーストバスターズ』の作品に倣うことも必要です。奨励されてはいませんが、危険を冒すことで、最も恐ろしい最大の問題を解決できる場合があります。この場合、組織はデータ管理に関する IT と企業の責任の境界を明確にしないことで、部署の境界に制限されなくなり、大規模な企業規模のデータ統合が可能になり、組織全体の従業員が適切なデータを適切なタイミングで活用できるようになります。

このようなデータ統合の課題を解決することは、社内および社外のコンプライアンスを維持するとともに、組織が企業の全体像を把握して、顧客への理解を深め、新たなビジネスチャンスを特定する上で必要不可欠です。多くの組織は、組織全体に最も利益をもたらすデータを特定、準備、管理して、幅広く利用できるように取り組んでいます。また、成功している分野では、データ管理の変化が起こっています。これは、テクノロジーから始まります。

ソリューションプロバイダーは、IT 部門を念頭に置くだけでなく、幅広いユーザーにデータ管理機能を導入するようになっています。また、ビジネスユーザーのワークフロー (分析プラットフォームを含む) に機能が組み込まれるにつれて、従業員は従来 IT 部門が負っていたデータ管理の責任において、より能動的な役割を担うようになります。これは、ビジネスインテリジェンスにおけるセルフサービスの進化において、自然な次のステップです。組織はデータアクセスの拡大から始めて、詳細な調査と新しいタイプのユーザーを通じて、分析コンテンツを作成できるようにしました。現在、一部のビジネスユーザーは、データ自体に関与することができます。IT 部門はこれらの各段階で、ビジネスユーザーへの負担を軽減できるように、ガバナンスとセルフサービスのバランスを取る方法を習得しました。企業全体で導入を拡大するにつれて、このような危険を冒すことも、データと分析の管理にとって重要です。

セルフサービスのデータ準備は、この進化をよく表しています。分析ワークフローに統合される最新のツールを利用して、従来の抽出、変換、読み込みプロセスのさまざまな側面が、セルフサービスで実行できるようになりました。これにより、即時にデータを見つけられるだけでなく、組織全体に拡張される前に、新しい使用事例をテストするための出発点として機能させることができます。まさに、Win-Win の関係です。企業はデータ管理における管轄権を拡大できるため、(従来の) 長い開発ライフサイクルを短縮できます。また、IT 部門は、最も適任である、高度に専門化された業務を引き受けることができます。

このような進化の例は他にも、データカタログが挙げられます。これは、データソース、コンテンツ、ユーザー間の関係を追跡しながら、データを定義して認定する上で役立つ、データ資産のインベントリです。データを統合して管理するにあたって、説明責任が分散している組織では、社内のデータ資産の現状を把握できる主要なツールとして、カタログは重要な役割を果たします。カタログを用いることで、さらに簡単にデータを見つけて利用拡大して、その関連性と新しさを把握し、特定の資産を使用しているユーザーを監視できます。

最新のカタログでは、これらの貴重な情報を特定して、業務に必要な背景をユーザーの分析の流れに組み込んでいます。そのため、より多くのデータが統合され、組織内で幅広く利用できるようになると、従業員はデータの品質や、ポリシーガイドラインの範囲内で使用する方法を理解できるようになります。これは、データリテラシーが重要となる分野です。少なくとも、ユーザーはデータ指標を解釈して、信頼性の高い関連データを識別することを学習します。データユーザーが自分自身のデータスチュワードになることで、IT 部門の負担が軽減され、意思決定の際に、責任ある方法でデータを使用できるようになります。適切なスキルを持つ先進的なユーザーについては、セルフサービスのデータ準備に参加したり、組織が採用する新しいデータソースを認証したりできます。または、データ整理のプロセスで、業務に必要な背景をメタデータとして組み込むこともできます。

IT 部門と企業は、機能と責任の境界を明確にしないことで、新しい協力体制と調和を実現できるようになりました。IT 部門と企業は、データ環境の可視性、発見しやすさ、信頼性を高める取り組みを共同で行うことができるため、ビジネスユーザーと目的に配慮した独自のアプローチを導入することで、さらに広範なデータ管理の取り組みを成功させることができるでしょう。これはまた、組織が最も広範な価値を持つデータ資産を特定して、優先順位を付けられるほか、管理対象のデータと分析を大規模にサポートできることを意味します。